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WESTERN MUSIC ON SHINOBUE

タイスの瞑想曲Méditation

Jules Massenet(1842–1912) ジュール・マスネ
from the opera Thaïs, Act II / 歌劇『タイス』第2幕より

タイスの瞑想曲の絵
『ナイルの夕暮れの舟』19世紀の彩色リトグラフ(Wellcome Collection、CC BY 4.0)
初演
1894年3月16日、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)
原曲の編成
独奏ヴァイオリンと管弦楽(オペラでは、終わりに舞台裏の合唱が加わる)
調・拍子
ニ長調・4分の4拍子・Andante religioso(宗教的な気分で、歩く速さで)
この楽譜
Christopher Fazzi 浄書(IMSLP、CC BY 3.0)の独奏ヴァイオリンの旋律から入力し、Heugel 1894年初版と照合

楽譜

標準の運指(一=ド)で書いています。笛だけで吹くなら、何本調子の笛でも同じ指で吹けます(鳴る高さは、笛によって変わります)。ピアノやギターと合わせるときは、一 がドに近い笛(目安として八本調子前後。笛によって違います)を使うか、伴奏の調を笛に合わせてください。

楽譜 1ページ目楽譜 2ページ目
⎙笛の楽譜(PDF)A4・2ページ ⎙ピアノ伴奏付きの楽譜(PDF)A4・5ページ ⎙ギター伴奏付きの楽譜(PDF)A4・5ページ ⎙曲目解説(PDF)印刷して、楽譜に添えて
運指の読み方
一 二 三 … 七
呂音(りょおん。低い音)
1 2 3 … 7
甲音(こうおん。一段高い音)。呂と同じ指で、息を強めます
点の付いた 2・3、8
大甲(だいかん。さらに高い音)。8 は大甲のド
数字の右上の ×
半音下げる指づかい(穴の一部を塞ぐ)。塞ぐ量は運指表をご覧ください
赤い ↑ ↓
その音だけ1オクターブ上げて/下げて吹く(笛の音域に収まらない音)
筒
筒音(すべての穴を塞ぐ)

お稽古用の音源

伴奏に合わせて吹くための、コンピュータで鳴らした音源です。「笛の旋律入り」で旋律を覚え、「伴奏だけ」で合わせて吹いてみてください。高さは A=440Hz で、このページの楽譜(標準の運指)と同じ調です。古典調の篠笛では、一 がおよそドの八本調子前後の笛の高さにあたります(笛によって違います)。その笛なら、音源に合わせてそのまま吹けます。楽譜の繰り返しも、そのとおりに演奏しています。

音源
笛の旋律
速さ
合う笛八本調子前後(古典調)一 がおよそドの笛
この音源を保存(MP3)

音源は、MuseScore Studio の音色(Muse Sounds)で、楽譜から作りました。藤舎名玄の演奏ではありません。

作曲者

ジュール・マスネは、フランス中部のサン=テティエンヌの近くに生まれ、11歳でパリ音楽院に入学しました。1863年にローマ大賞を受け、のちに母校の作曲の教授として、多くの弟子を育てています。

甘くしなやかな旋律と、劇の場面に細やかに寄り添う音楽で、19世紀末のパリで最も人気のあるオペラ作曲家となりました。代表作に『マノン』(1884年)、『ウェルテル』(1892年)、そしてこの『タイス』(1894年)があります。

曲の成り立ち

『タイス』は、アナトール・フランスの小説(1890年)をもとに、ルイ・ガレが台本を書いたオペラです。題名の役は、マスネが信頼を寄せていたアメリカ出身のソプラノ、シビル・サンダーソンのために書かれました。

舞台は4世紀のエジプトです。砂漠で修行する修道士アタナエルは、アレクサンドリアで華やかな暮らしを送る遊女タイスを、神の道へ導こうと決意します。

第2幕、アタナエルに生き方を問われたタイスは、強く反発しますが、ひとりになって心を揺らします。その場面と次の場面をつなぐ間奏曲として奏されるのが、この『瞑想曲』です。曲が終わると、タイスはアタナエルに、すべてを捨てて修道院へ向かう決心を告げます。

この旋律は、第3幕の終わり、砂漠の修道院で死を迎えるタイスと、彼女への愛に気づいて苦しむアタナエルの場面で、ふたたび現れます。オペラを離れても、ヴァイオリンとピアノの編曲(マルシック編、1894年)をはじめ、さまざまな楽器で親しまれている曲です。

曲調と聴きどころ

ハープの分散和音にのって、独奏ヴァイオリンが、ゆったりと上がっては下りる主題を歌い出します。祈りのような静けさの中に、タイスの心のときめきや迷いがにじみます。

中間部では、速さが少しずつ増し、「少しずつ情熱的に」(poco a poco appassionato)と、心の揺れが大きくなっていきます。頂点を越えて静まったあと、ふたたび主題が戻ってくるのは、迷いを抜けて、心が決まったことを表すかのようです。

曲の流れ

小節の番号は、このページの楽譜の小節番号です。

小節内容
1〜2前奏(ハープの分散和音)
3〜20主題。3〜10小節で歌い出し、10小節で f に高まる。11〜20小節で、さらに続きを歌い、rall. で静める
21〜39中間部。Più mosso(速さを増して)から poco a poco appassionato へ。32小節で ff の頂点を迎え、34小節の più mosso agitato(激しく)を経て、38小節の rall. で主題へ戻る
40〜57主題が戻る(3〜20小節と同じ音)
58〜71結び。Calmato(静まって)、pp。最後はヴァイオリンのハーモニクス(倍音)の澄んだ音で、高いラからレへ、静かに消えていく

Christopher Fazzi 浄書(IMSLP、CC BY 3.0)の独奏ヴァイオリンの旋律から入力し、Heugel 1894年初版と照合