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WESTERN MUSIC ON SHINOBUE

シランクスSyrinx

Claude Debussy(1862–1918) クロード・ドビュッシー
Flûte seule, L. 129 / 無伴奏フルートのための

シランクスの絵
作曲・初演
1913年、パリ。フルート奏者ルイ・フルーリーが初演
原曲の編成
フルート1本(無伴奏)
調・拍子
変ロ短調の調号・4分の3拍子(終わり近くに4分の2拍子)・Très modéré(とても穏やかに)。35小節、2分半ほど
この楽譜
Roside Edition 浄書(IMSLP、CC0)から入力し、Jobert 1927年初版と照合

楽譜

標準の運指(一=ド)で書いています。笛だけで吹くなら、何本調子の笛でも同じ指で吹けます(鳴る高さは、笛によって変わります)。

楽譜 1ページ目楽譜 2ページ目
⎙笛の楽譜(PDF)A4・2ページ ⎙曲目解説(PDF)印刷して、楽譜に添えて
運指の読み方
一 二 三 … 七
呂音(りょおん。低い音)
1 2 3 … 7
甲音(こうおん。一段高い音)。呂と同じ指で、息を強めます
点の付いた 2・3、8
大甲(だいかん。さらに高い音)。8 は大甲のド
数字の右上の ×
半音下げる指づかい(穴の一部を塞ぐ)。塞ぐ量は運指表をご覧ください
赤い ↑ ↓
その音だけ1オクターブ上げて/下げて吹く(笛の音域に収まらない音)
筒
筒音(すべての穴を塞ぐ)

お稽古用の音源

笛の旋律を、コンピュータで鳴らした音源です。高さは A=440Hz で、このページの楽譜(標準の運指)と同じ調です。古典調の篠笛では、一 がおよそドの八本調子前後の笛の高さにあたります(笛によって違います)。繰り返しは省いて、1回通して演奏しています。

速さ
合う笛八本調子前後(古典調)一 がおよそドの笛
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音源は、MuseScore Studio の音色(Muse Sounds)で、楽譜から作りました。藤舎名玄の演奏ではありません。

作曲者

クロード・ドビュッシーは、パリ近郊のサン=ジェルマン=アン=レーに生まれ、10歳でパリ音楽院に入学、1884年にローマ大賞を受けました。

長調・短調の決まりにとらわれない和声や、全音音階、東洋の音階などを取り入れ、光や水、風のうつろいを音で描くような、新しい響きを切り開きました。1889年のパリ万国博覧会で聴いた、ジャワのガムラン音楽からも、大きな影響を受けたといわれます。

代表作に、『牧神の午後への前奏曲』(1894年)、オペラ『ペレアスとメリザンド』(1902年)、管弦楽曲『海』(1905年)、ピアノ曲『月の光』などがあります。『牧神の午後への前奏曲』も、フルートの独奏で始まる曲で、牧神とフルートの結びつきは、ドビュッシーにとって大切な題材でした。

曲の成り立ち

1913年、詩人ガブリエル・ムーレの劇詩『プシシェ』のための付随音楽として書かれました。劇の中で、牧神パンが吹く笛の調べとして、舞台の陰から吹かれた曲です。ドビュッシーがこの劇のために仕上げた音楽は、この1曲だけでした。

初演したのは、親交のあったフルート奏者ルイ・フルーリーで、曲は彼に献呈されています。このときの題は『パンの笛』(La flûte de Pan)でした。ドビュッシーの生前には出版されず、1927年にジョベール社から『シランクス』の題で出版されました。初期の歌曲『パンの笛』(『ビリティスの3つの歌』の第1曲)と区別するために、題を変えたとも考えられています。

無伴奏フルートの曲としては、18世紀のC. P. E. バッハのソナタ以来の重要な作品とされ、20世紀のフルート独奏曲の出発点となりました。

シランクス(シュリンクス)は、ギリシャ神話の水の精(ニンフ)の名です。牧神パンに追われた彼女は、川辺で葦に姿を変えて逃れました。パンが、風に鳴るその葦を切って束ね、作った笛が「パンの笛」です。葦や竹を切って作る笛という点で、篠笛とも遠くつながる物語です。

曲調と聴きどころ

冒頭の、細かく揺れながら下りていく短い動機が、曲全体のもとになっています。この動機が、形を変えながら何度も現れるので、即興で吹いているような自由さの中にも、しっかりとしたまとまりがあります。

調号は変ロ短調ですが、半音階や全音音階が多く、調ははっきりしません。拍子も、3連符や付点のリズムが入り組んで、拍を感じさせない、漂うような流れになっています。作曲者が書き込んだ息継ぎの記号と、「Retenu(ためて)」「Cédez(ゆるめて)」「Rubato」などの細かな速さの指示が、そのまま音楽の呼吸になっています。

曲の流れ

小節の番号は、このページの楽譜の小節番号です。

小節内容
1〜8冒頭の動機。高い音域でゆるやかに揺れ、8小節の Retenu で、ひと区切り
9〜25Un peu mouvementé (mais très peu)(少し動きをもって、ただし、ごくわずかに)。動機が低い音域で展開し、Cédez、Rubato と揺れながら、トリルを経て、25小節の高いシ♭へ
26〜35au Mouvᵗ(最初の速さで)。冒頭の動機が戻り、dim. で下りていく。最後は全音音階で一段ずつ下がり、Très retenu、perdendosi(消え入るように)で、低いレ♭にたどり着いて消える

Roside Edition 浄書(IMSLP、CC0)から入力し、Jobert 1927年初版と照合