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WESTERN MUSIC ON SHINOBUE

ブーレ・アングレーズBourrée anglaise

Johann Sebastian Bach(1685–1750) ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
Partita in a minor for Solo Flute, BWV 1013 / 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 より 第4曲

ブーレ・アングレーズの絵
アドルフ・メンツェル『サンスーシ宮殿のフルート演奏会』1850〜52年
作曲
1720年代のはじめごろ(正確な年は分かっていない)
原曲の編成
フルート(フラウト・トラヴェルソ)1本(無伴奏)
調・拍子
イ短調・4分の2拍子
この楽譜
Mutopia Project(J. Shapiro 浄書、パブリックドメイン)の楽譜に、篠笛の運指を付記

楽譜

標準の運指(一=ド)で書いています。笛だけで吹くなら、何本調子の笛でも同じ指で吹けます(鳴る高さは、笛によって変わります)。

楽譜 1ページ目楽譜 2ページ目
⎙笛の楽譜(PDF)A4・2ページ ⎙曲目解説(PDF)印刷して、楽譜に添えて
運指の読み方
一 二 三 … 七
呂音(りょおん。低い音)
1 2 3 … 7
甲音(こうおん。一段高い音)。呂と同じ指で、息を強めます
点の付いた 2・3、8
大甲(だいかん。さらに高い音)。8 は大甲のド
数字の右上の ×
半音下げる指づかい(穴の一部を塞ぐ)。塞ぐ量は運指表をご覧ください
赤い ↑ ↓
その音だけ1オクターブ上げて/下げて吹く(笛の音域に収まらない音)
筒
筒音(すべての穴を塞ぐ)

お稽古用の音源

笛の旋律を、コンピュータで鳴らした音源です。高さは A=440Hz で、このページの楽譜(標準の運指)と同じ調です。古典調の篠笛では、一 がおよそドの八本調子前後の笛の高さにあたります(笛によって違います)。繰り返しは省いて、1回通して演奏しています。

速さ
合う笛八本調子前後(古典調)一 がおよそドの笛
この音源を保存(MP3)

音源は、MuseScore Studio の音色(Muse Sounds)で、楽譜から作りました。藤舎名玄の演奏ではありません。

作曲者

ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、ドイツ中部のアイゼナハに、代々音楽家を出した家に生まれました。ヴァイマルの宮廷オルガニスト、ケーテンの宮廷楽長を経て、1723年からはライプツィヒの聖トーマス教会のカントル(音楽監督)を務め、その地で生涯を終えました。

ケーテンの宮廷(1717〜23年)は、礼拝に手の込んだ音楽を用いない改革派の宮廷だったため、バッハはこの時期、器楽曲に力を注ぎました。無伴奏ヴァイオリンや無伴奏チェロのための曲、『ブランデンブルク協奏曲』、『平均律クラヴィーア曲集』第1巻などは、この時期に生まれています。

生前は、作曲家としてよりも、オルガンの名手として知られていました。没後はしばらく忘れられましたが、1829年にメンデルスゾーンが『マタイ受難曲』を蘇演したことをきっかけに、19世紀に再評価が進みました。

曲の成り立ち

バッハが、フルート1本だけのために書いた、ただひとつの曲です。アルマンド、コレンテ、サラバンド、ブーレ・アングレーズの4つの舞曲からなり、ブーレ・アングレーズは、その最後の曲です。

自筆譜は残っておらず、2人の写譜者による写しが1つだけ伝わっています。写しの題は『フラウト・トラヴェルソのための独奏曲』(Solo pour la flûte traversière)で、「パルティータ」という名は、20世紀の編者が付けたものです。写譜者の筆跡から、ケーテン時代の終わりから、ライプツィヒ時代の初め(1722〜24年ごろ)に写されたと考えられています。

当時のフルートは、キーが1つだけの木製のフラウト・トラヴェルソです。休みの少ない、高い技術を求める書き方から、腕の立つ奏者を念頭に置いて書かれたと考えられています。

曲調と聴きどころ

ブーレは、フランスのオーヴェルニュ地方の民俗舞踊に由来する、軽快な2拍子の舞曲です。拍の前から、弾み込むように始まるのが特徴です。「アングレーズ」は、フランス語で「イギリス風の」という意味です。

前半と後半を、それぞれくり返す二部形式です。前半で別の調へ移り、後半はいくつかの調を巡ってから、イ短調に戻ります。

8分音符と16分音符が途切れなく続き、1本の旋律の中で、高い音と低い音が交互に跳ねます。耳で追うと、高い声部と低い声部の2つが、会話しているように聞こえます。バッハの無伴奏の曲によく見られる、「隠れた多声」と呼ばれる書き方です。休符がほとんどないので、どこで息を吸うかが、吹き手の工夫どころになります。

Mutopia Project(J. Shapiro 浄書、パブリックドメイン)の楽譜に、篠笛の運指を付記